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「――ほら、起きて。学校遅刻しちゃうよ。」
少女は、誰かに起こされて、目が覚めた。
「んん…お母さん?」
少女は寝ぼけながらそう言うと、
「なに寝ぼけてるの。私はお母さんじゃないわ。」
「え…?」
少女は目をこすって、目の前にいる人をじっくりと見た。
「…あれ?お姉ちゃん?」
「そうよ。…どうしたの、私の顔に何かついてる?」
「ううん、違うの…なんでお姉ちゃんがいるの?もう会えないんじゃ…。」
「まだ寝ぼけてるの?私はあなたのお姉ちゃんでしょ。それより、早く支度しなさい。」
「…はーい。」
少女は、困惑していた。
お姉ちゃんに水たまりの中に連れていかれて、それから…覚えてないなぁ。
あれは、夢だったのかもしれない。
そうだ、あれは不思議な夢だったんだ。
少女は、そう考えた。
着替えて、朝ごはんを食べ、玄関へ向かった。
いつもの、自分の家の玄関だった。
ただ、少し違和感を感じた。少しだけ。
気にせず、そのままドアを開け、
「行ってきまーす!」
玄関まで見送ってくれたお姉ちゃんは、
「『行ってらっしゃい。』」
と、返してくれた。
少女は、夢で聞いた声と重なって聞こえた――。
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