第3章 本音

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梓side バチーンっと何かを叩く音が聞こえ、俺は目を覚ました。何でこんな音が…?まさか城崎先生に何かあったんじゃ…そう思い、俺はベッドから飛び降り部屋を出る。少し頭痛と目眩はするが、睡眠をとる前より大分治まってきた。確か、玄関から聞こえた気がする。 「……っ!?」 玄関に行くと、城崎先生と父さんがいた。先生の顔は、殴られたのか頬が赤くなっている。俺に気づいた父さんが口を開く。 「梓、帰るぞ。」 「…嫌…です……」 「いいから帰るぞ。」 父さんは俺の腕を力強く掴んで、俺を帰らせようとする。嫌だ…帰りたくない! 「い…嫌っ!離してください!!」 「離すわけないだろう。帰ってこないお前が悪い。」 「嫌がっているでしょう、離してあげたらどうですか?」 俺と父さんの手を離しながら城崎先生が言う。俺はすぐに城崎先生の背後に隠れた。 「梓…お前はどれだけ私の機嫌を損ねたら気が済むんだ。いい加減にしろ!」 「ひっ……」 父さんの事が怖くなって、体が震え始めた。 「維網さん。彼がこんなに怖がっているのに、なぜやめないんですか?」 「教育だ。私は梓の為を思って、自分なりの教育をしている。」 嘘だ…父さんが俺のことを思って、こんな教育なんか絶対しない。 「教育は…何時間も勉強させたり、100点をとったらいいというわけではありませんよ。確かに、大学受験などで高い学力が必要だと思いますが、梓君の場合は勉強のしすぎです。梓君は飲み込みが早いですし、記述問題や英語の長文問題が苦手だと言っていましたが、先生方の1時間講習で丸の数が増えていました。だから、何時間も…24時間勉強は尚更頭に入りません。1時間や2時間だけでもしっかり勉強して、理解する事で学力の向上が出来ると思います。なので、あまり過激な教育はしないようにしてください。」 「……ちっ」 父さんは背中を向け、ドアを開けて出ていった。足に力が抜けて床に座り込む。 「大丈夫か…?」 「は…はい……あ、あのっ…」 「ん?どうした?」 「さっきは…ありがとうございました…おかげで助かりました……」 「全然、気にするなよ。俺も言いたかったこと言っただけだし。」 優しく微笑む城崎先生に、俺はまた惚れてしまった。先生と離れたくないな…そんな思いが強くこみ上げてきた
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