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そして数分後に、梓が戻ってきた。
「烏龍茶買ってきました!」
「あぁ、ありがとう。」
梓から冷えた烏龍茶を貰う。
「あっ…そういえばさっき、警察の人を見かけたんですけど……」
警察!?さっきのことを言われたんじゃ……!俺は、梓の腕を掴む。
「何か言われたのか!?」
「…え?言われてませんよ?ただ、他の病室に入っていくのが見えただけで……。」
「あ……そっか…」
「何かあったんですか?」
「…いや、何でもない。ごめんな。」
早とちりしてしまった。やっぱり、人の話を最後まで聞いていないからこういう事になるんだよな。そこが自分の悪いところで直したいのに、未だに直せない。それでも、このことはまだ黙っていないと…。そして、俺は退院して家に戻った。
退院してから3日目、俺は学校が終わってすぐ警察署に行った。梓には会議で遅くに帰ることを言っているから大丈夫なはずだ。そして事情聴取が行われた。
「えー…維網梓君を誘拐などしていない…。ではなぜ、あなたの家に彼がいたのですか?」
「彼の父親が亡くなって、彼の居場所がなくなったので俺の家に連れてきました。」
「彼は嫌がってなかったのですか?」
「はい、嫌がっている様子にはとても見えない顔をしていましたから。」
「……」
2時間、3時間と時間が経ったが未だに終わる気配がしない。
「……今日はこの辺にしておきましょう。ではまた明日、今日と同じ時間に来てください。」
「明日は…時間がないので、出来れば明明後日にしていただきたいのですが……」
「はぁ、仕方ありませんね。では明明後日に、今日と同じ時間に来てください。」
「はい。」
長い事情聴取が終わり、家に帰宅する。はぁ…酷く疲れが溜まった……。家に着くと、明かりがまだついていた。
「梓……?」
家の中に入ると、リビングのソファーで本を手に持ったまま寝ている梓がいた。時計は既に11時半になっていた。まさか…俺の帰りを待っていたのか?食台には梓が作った夕飯が置かれていた。
「梓、いつもありがとな。」
俺は梓の額に軽くキスをする。そして、梓をお姫様抱っこして寝室に寝かせる。軽く頭を撫でて俺は寝室を出た。夕飯を食べて入浴し、やることを終えて俺も眠りについた。
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