第5章 嘘と真実

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「警察……」 城崎先生の顔が暗くなる。 「俺が行った方が早く済みますよね?なら、俺が行ってくるので安心してください!」 「でも…俺は行かせたくない。」 「なぜですか?」 「…それは……何か、嫌な予感がするから……」 「……」 城崎先生がこんな深刻な顔をするのは初めて見る。 「俺も行くよ、ちょっと待ってて。」 そう言って城崎先生はベッドから出て支度を始める。けど、城崎先生の体調はまだ優れないらしく、座り込んでしまった。 「城崎先生!やっぱり、1人で行ってきますよ!城崎先生、まだ体調万全じゃないみたいだし…。」 「…わりぃ……気をつけて…な……」 そう言って、城崎先生は眠ってしまった。気をつけるって…どういう事?とりあえず俺は、警察署に向かった。 警察署に着いて、中に入る。 「あの、すみません。」 「ん?君、もしかして維網君!?」 1人の警察官が俺に近づいてくる。 「え?あぁ…はい……」 「よかった、あの男から逃げてきたんだね?」 「もしかして…城崎先生の事ですか?」 「あぁ、あの男は誘拐などしていないと言うが、どうも怪しくてな。やっぱり誘拐だったか。」 何で…?城崎先生はそんな事しないのに…この人、一体何を考えてるの? 「城崎先生は…誘拐などしていませんよ。」 「何…?」 「父親が死んで、居場所がなくなった俺を唯一助けてくれたのが…城崎先生なんです。だから、誘拐なんてしていません。信じてください。」 「……」 警察官は、俺を睨んでいる。けど、事実を述べているんだし間違った事は言ってない。俺も警察官を睨み返す。 「…分かった。」 やっと認めてくれた!そう思っていたが…… 「君はどうやら夢を見ているんだ。」 「…え?何を言って……」 「城崎貴史という夢を見ているんだ。…いや、悪夢と言った方が正しいかな。」 「ちょ…ちょっと待ってください!何言ってるんですか!夢って…」 「その名の通りだ。君は夢を見すぎている。君には現実を見てもらわないとな。」 その瞬間、俺の口元を布で押さえつけられる。 「…んっ…んんんっ!」 「さぁ、現実の世界へようこそ。」 視界がぼやける。何か、頭が変…。俺…一体何が……。倒れる前に、俺は警察官が口にした言葉をぼんやりと聞いた。「君はとても可愛い。俺と共にしよう。」……と。
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