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「あそこが音楽室で、あっちが美術室です。」
昼休みになり、俺は城崎先生に学校案内をしている。やっぱり先生はイケメンだ。周りの女子達が頬を赤らめながらこっちを見ている。そして俺は、思っていた事を本人の目の前で言ってしまった。
「城崎先生って…イケメンですよね。」
「えっ…?」
「……あっ」
思わず口が滑ってしまって顔が熱くなるのを感じる。まさか思っていたことを口に出してしまうなんて…もう手遅れだ。変に思われただろうなと不安に思いながら再び口を開く。
「す、すみません…俺……」
「ふふっ、大丈夫だよ。維網君、男子だから少し驚いたけど…お世辞でも嬉しいよ。」
あれ?気持ち悪がられてない…?
「ちっ、違います!本心です!」
「ふふっ、あははっ…維網君って面白いね。」
「え…そう…ですか……?」
「うん、真面目で面白いとは正反対かなって思ってたから。」
確かに、自分は面白い人とは正反対だ。そんな自分が面白いと言われるのは、何だかくすぐったい気分だった。
「ありがとう、維網君のおかげで楽しい時間を過ごせたよ。」
「あ…俺もです!また…城崎先生と2人で、いれたらな……」
「いいよ。俺も維網君といれて凄く楽しかったから。今度一緒に出かけようか?」
また独り言を言ってしまったみたいだ…
「い、いいんですか?」
「もちろん。」
「あ、ありがとうございます…」
こうして、俺と城崎先生は連絡先を交換して毎日話をした。城崎先生と話したり一緒にいたりするのはとても楽しかった。城崎先生と居ると心臓がドキドキしたり、もっと一緒にいたいと思ってしまう。
俺は…城崎先生のことが…好きになってしまったのかもしれない……
ずっと…こんな時間が続いてほしいと願った……けど、そんな幸せな時間がすぐに終わる事を…俺はまだ知らなかった。
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