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「…ごめん…今日は行く気になれなくて……」
「そう…ですか……けど、何かあったなら言ってください。心配になりますから。」
「……」
「黙っているということは…何かあったんですね?言ってくださいよ。仕事関係ですか?それとも別の何かですか?」
あーもう…梓は鋭すぎる…。自分で何とかしたいのに…迷惑なんてかけたくねぇのに…。駄目だ、ここで言っちゃ駄目だ…。本当はこういうことは気が引けるが…仕方ない。俺は立ち上がって、梓を突き飛ばした。
「痛っ…!」
「お前が一人前の大人になるまではいさせてやる。けど、高校を卒業したらすぐに出てけ。」
「な…貴史…さん……?」
「その呼び名やめろ。俺は教師でお前は生徒。ちゃんと先生つけろ。あと、名前で呼ぶな。」
「し…城崎…先生?」
「…明日から俺は家にいないから。適当にやってろ。」
そう言って、俺は梓を部屋から追い出して鍵をかけた。
「城崎先生っ!?城崎先生!!」
俺の部屋のドアを叩きながらそう叫ぶ声が聞こえたが、しばらくすると静かなって梓が離れていく足音が聞こえた。これで…よかったんだ。こうすればあいつも楽になれるし、俺の所もトラブルに合わなくて済む。これで無事に解決する。俺は、携帯をとって心彩に電話をした。
「もしもし、貴史?」
「心彩?俺…お前と婚約するよ。」
「え、本当!?」
「…あぁ。ただ、結婚式とかはまだ後にして欲しい。頼む。」
「うーん、分かったわ。じゃあ婚約するっていうことでいいわね?」
「……あぁ。」
そう言って、俺は電話を切る。電話を切った途端、目頭が熱くなってきた。泣くな、泣いたら駄目だ。そう自分に言い聞かせて、一日が終わった。
「城崎先生、昨日は大丈夫でしたか?」
「えぇ、大丈夫ですよ。昨日は急に休んでしまい申し訳ございません。」
「体調不良なら仕方ありませんよ。早く治って良かったですね。」
昨日、俺の授業を代わりにやってくれた先生と数分話をして、終わったあとに授業をしに行く。次は梓のクラスか…。気が引けるな…。今日の朝、梓と一言も話さなかった。言い出した俺は勿論無言だし、梓も俺に強く言われたからか、何も口を開かなかった。予鈴がなって教室に着き、中に入る。
「席付け。授業始まるぞ。」
号令がかかって一同礼をする。梓の方を見ると、俺の顔を見ずにずっと俯いていた。
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