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「何…で……これを……?」
「私が気づかないとでも思ったのかしら?」
「……っ!」
心彩から急いで写真を奪い、破ろうとした時…
「まだデータは残ってあるから、別に破いたって構わないわよ?」
「……何のつもりだ?急に婚約だったり、こいつと一緒に写ってる写真見せたり…お前、何がしたいんだ?」
「別に?私が楽しんでただけ。私言ってなかったけど…腐女子なのよね。だから、貴史とこの子が一緒にいるの見て萌えてた。けど、お父様から貴史と婚約させられることになってね…悲しくなった。じゃあ、婚約したら貴史とこの子は一体どうなっちゃうの?私のせいで…あなた達の邪魔をしたんじゃないかって思ったら…申し訳なくて……」
心彩が急に暗い顔で悲しそうな顔で、そう話した。
「心彩……」
「なーんてね。」
「…え?」
急に心彩の声のトーンが上がった。
「私がそんなこと思うわけないじゃん!悲しい?別に悲しくないよ!あははははははっ!!貴史、間に受けた?バッカね~!」
甲高い声で嘲笑う心彩。そんな彼女に俺の怒りは爆発した。こんな彼女と婚約なんて、絶対に嫌だ。ふざけるな!こっちがどういう思いであいつと離れたか知る由もねぇだろ!バカにしやがって……!そう思いながら、俺は心彩のカバンをとって中をあさる。
「ちょっと、何してるのよ!?」
その言葉を無視して、俺は目的のものを見つけて取り出す。婚約届。今すぐ婚約破棄してやる!そう思いながら、俺は婚約届を破り捨てた。
「貴史っ!?」
「まさか、お前がそんなに汚い心の持ち主だったとはな。見損なった。お前との婚約なんてごめんだ。俺はお前が思ってるほど、心広くねぇんだよ。」
「……は……はは…?貴史、それ破いちゃうなんて…どういう神経してるのよ…本当にバカね?それ破いたってことは、あなたのお父様の会社は倒産!そしてあなたは殺されるのよ!?」
「別にいいよ。殺しても…」
「……は?」
「俺を殺しても構わない。けど、父さんの会社に迷惑をかけるのはやめてくれ。父さん、今の仕事凄く楽しんでる。だから、俺だけに目をつけろ。けどな…俺だってまだ生きていたいんだよ。」
俺の脳裏に、ふと梓の顔が浮かぶ。また、一緒に笑い合いたい。もっと一緒に楽しい時間を過ごしたい。大好きだから。愛してるから。そんな感情を教えてくれたのが彼だから…。だから俺は、諦めない。
「心彩、勝負をしよう。」
もう絶対に…。
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