第7章 貴史の婚約者

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「は?何よ?勝負って…」 「明日一日、俺を殺しに行くゲーム。」 「はぁ!?」 「俺がこの婚約を断ったら俺を殺すらしいじゃん?だから、明日一日中俺と鬼ごっこ兼殺人ゲーム…的な?それで俺に包丁で傷をつけることが出来たら心彩の勝ちで、殺していい。けど、逃げ切れたら俺の勝ちでこれからは俺の自由を返して欲しい。」 「……」 一通りゲームの内容を話したが、心彩は無言のままだ。 「心彩…」 「うるさいわね、ちょっと黙ってて。」 どうやら何か考えてるらしい。俺はロビーの椅子に座って待った。この勝負に乗ってくれたら、梓とちゃんと話すことができる。その場合は何としても勝たなきゃ……。でも、もし乗ってくれなかったらその時はどうしよう?対策を練っていると、心彩が俺の元に来た。 「貴史、乗るわ。その勝負。ただし、私が勝ったらその時は私と結婚すること。いいわね?」 「いいよ。それで。明日の0時から24時間が制限時間だ。いつ殺しに来ても構わないよ。ただし、授業中の時には控えて欲しい。」 「そうね、生徒に迷惑かけるものね。」 「あと、生徒を人質にしないこと。まぁ、しないとは思うけどね。」 「はぁ!?するわけないじゃない!バッカじゃないの!?もういいわ、私は帰るから。」 そう言って、心彩はホテルを出て行った。俺はこのホテルに残ることにした。 0時、殺人鬼ごっこが始まった。俺はいつ殺されるか分からないので、先に三時間程仮眠をとっていた。0時に起きて本を読んでいた。けど、心彩が来る気配はない。ひとまず安心したが、油断しているといつ、どこから来るか分からない。俺は警戒しながらも、ずっと起きていた。 早朝6時半、俺はホテルを出て学校に向かう。多少眠気は襲ってきたが、これくらいの眠気は残業もして慣れていたから大丈夫だった。学校に向かっている途中、背後に気配を感じ振り向いたが誰もいなかった。多分、心彩だな。そんな後をつけてきていても分かるのに。このゲームを選んだのも、俺なりの作戦だ。心彩は昔から、鬼ごっこやケイドロが苦手だった。昔から見てきた俺には分かる。このゲームで、少しは変わったか?と思っていたが昔から変わっていない。俺は勿論得意なので、気配に気づいたり、足もそれなりに速いから逃げられる自信がある。逃げるついでにランニングでもしよう。そう思いながら、俺は走って学校に向かった。
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