第2章 父親の英才教育

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「え…でも迷惑じゃ……」 「全然迷惑だなんて思ってないよ?」 「でも……」 俺が言葉を濁したせいか、城崎先生が口を開く。 「…やっぱ……俺の家なんて来たくないか。」 「ちっ、違いますっ!そうではなくて……」 「じゃあ…何……?」 「…親にバレたら…何を言われるか……正直、怖いんです。他人の家に行くなど許さないとか、何てことをしてくれたんだとか…1回そう言われたことがあったから……」 「そっか…ちょっと、耳貸して。」 「…はい……?」 俺は、言われるがままに耳を傾けた。 「抵抗はあるかもしれないけどさ、こう言ってみたらどう?」 そう言って、城崎先生は小声である作戦の提案をした。俺は…何の迷いもなく、そのまま作戦を実行することにした。 学校が終わり、家に帰宅した。部屋で準備をしていると父親が部屋に入ってきた。 「梓、何をしている?帰宅したあとはすぐに勉強をする約束だろう。」 「これから先生の家に行って勉強を教えてもらうので、何日か留守にするから。」 「ほぅ?それは本当か?」 「本当だよ。それじゃあ、行ってきます。」 準備を終えて、部屋を出る。そのまま家を出たが、止められもしなかったので気にせず城崎先生の自宅に向かった。やっぱり、勉強の話題なら許してくれるのかなと思いながら歩いて、目的地に着いた。4階の405号室を見つけインターホンを鳴らす。すると、すぐに先生が出てきた。 「いらっしゃい、待ってたよ。」 優しく微笑む城崎先生に、俺の胸が高鳴った。 「お、お邪魔します…」 「どうぞ。」 中は凄く綺麗で、とても成人男性の一人暮らしのようには見えない部屋だった。 「とりあえず、お茶出すね。」 そう言って、城崎先生は台所に向かった。その時、ドクンッと心臓が動くのを感じた。行かないで…俺を置いて行かないで……そういう辛い思いが強くなっていった…気づいた時には、俺は城崎先生に後ろから抱きついていた。 「維網…?どうした……?」 急な出来事に城崎先生も驚きの表情を浮かべている。 「……やだ…行かないで…行かないでください…」 気づけば俺は泣いていた。何でかは全然分からなかった。もう、号泣しそうな程に胸が苦しかった。そんな俺を城崎先生は、嫌がりもせず優しく抱きしめてくれた。 「大丈夫…どこにも行かないから。」 「……っ!」 その言葉に俺は涙を抑えきれず、号泣した。城崎先生の抱きしめる手がとても温かく感じた。
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