第3章 本音

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貴史side 「寝ちゃった…」 維網が眠ったことを確認し、俺は部屋を出る。すると携帯電話が鳴り響いた。俺は電話に出る。 「もしもし」 「もしもし、城崎先生ですか?」 電話の声は保健の先生だった。 「はい、そうですが…どうかしたんですか?」 「先程、維網君の保護者の方がいらっしゃって…維網君はどこにいるんだなどと随分お怒りのご様子で。」 「維網は、俺の家にいるので安心してください。維網は風邪を引いて今、寝込んでいるのでその事を親御さんに伝えてくれませんか?」 「分かりました。」 電話を切って台所に行く。先程作った朝食を食べていると、維網のことで不安がいっぱいになっていく。そんな中でまた学校から電話が来て、電話に出る。 「もしもし…?」 「梓はお前の家にいるのか!?」 「……!」 維網の親御さんだ。すごく怒っている。 「えぇ、熱を出してしまいまして寝ています。」 「今すぐ起こして、家に帰るように伝えなさい。」 「えっ!?」 熱が出ていることを伝えたのに、無理矢理起こして帰らせろ…!?いくら何でも酷い…俺はブチ切れて言い返した。 「風邪を引いて寝ている人を無理矢理起こすなんて、俺には出来ません。」 「何だと!?」「あいつは今、凄く顔色が悪くて辛そうです。そんな状態で俺は、無理矢理起こして家に帰させたくありません。ご自宅には必ず帰しますので、熱が下がるまでは。」 「ちっ…今すぐそっちに行ってやる」 「…え?」 ブツっ…ツーツーと電話が切れて俺は渋々電話を切る。あいつが辛い思いを抱えているというのに、何でこの人はこんなにも自分の子供に厳しいのだろう?すると、突然背後から誰かに抱きしめられる。 「えっ…?」 振り返ると維網が抱きついていた。 「維網…?」 「……」 維網の顔色はまだ悪い。まだ1時間も寝ていないはずなのに大丈夫なんだろうか?すると、維網が小さく呟く。 「先生…好き……」 「……っ!?」 突然の言葉に俺は驚かずにはいられなかった。え?今…好きって……。維網は続ける。 「俺…先生と一緒にいるにつれて……だんだん、先生の事好きになったんです…本当に……先生が好き…大好き……」 そう言って、熱が悪化したのか維網は軸足からガクッと崩れ落ちる。その前に、俺が支え何とか倒れずに済んだが…俺の顔は自分でも分かるほどに熱かった。どうしよう…理性が吹っ飛びそうで仕方なかった。
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