それが書かれた手紙

「私が死んだ理由を知りたいですか？」

ほろ酔いで帰る道すがら、何となく落ちていた紙切れを拾った。
これは、そこに書かれていた言葉だ。
ノートの切れはしに書き殴ったような文字に、つまらないイタズラだな、と思った。
おおかた、暇な大学生とかが通りがかる者を怖がらせようと置いたものだろう。
しかし、こういう人通りのないガード下に、夜中に置くイタズラの道具としては些かパンチが弱くはないか。
こんなものより、マネキンの首を転がした方がよいのでは…と酔った頭でそこまで考えて、くしゃりと紙を丸めて放った。

「教えられるもんなら教えてみろよ」

鼻で笑いながら吐き捨てて、再び歩き出した瞬間、

「わかりました」

どこからともなく聞こえた声に振り替えると。

逆さまにぶら下がった女が、長い髪を揺らしながら真っ赤な両目を歪めて笑っていた。

翌日、ある男性の変死体が路上で見つかった。
切り刻まれたようにズタズタの彼の背中には、

「わかったでしょ」

という、意味不明の血文字が書かれていたという。