第一章 捨子花 / Second Encounter:Falling in the sky

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 ああ、早く帰りたいな。 そう思っていた矢先、私の意識を強引に引き戻す会話が、二人の間に続いていた。 「いや、誘拐じゃないくて。あ、な、なんと言うか」 「落ち着いて。深呼吸でも」 工藤の口調は激しくなっていた。 冬姫の提案など端から聞く気もない。 溢れ出る言葉を、まだ辛うじて残る理性で選別しようと努力しているが、 時期決壊するのは明白だった。 「赤ちゃん、お腹の中に、中にいたんですよ。だから、そんなことあるはずないのに。 消えたんですよ。お腹から。子供、私の子供。どこに、どこに言ったのかわからなくて。 でも痛くもなくて。重くもない。――おかしいですよね?」  私達は反応に困っていた。 工藤の言葉をそのままに受け取れば、彼女は妊娠中に胎児を失くしたという。 しかも一切の外傷も違和感もなく、自身の知らぬところ突如として喪失した。
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