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美羽「…ね、この手裏剣、投げても投げても減らないと思ったら、勝手に手元に戻ってきてる」 那緒「…へー、無駄にならなくて良いねー…お、この黒筒、キーホルダーじゃなかったっぽい」 いつの間にか那緒は立ち上がり、身長ほどもある黒基調の棍を軽く振り回している。 美羽「、は!?その棍どっから出てきたの!?」 那緒「や、考えてみたら私だけ武器ないなーって思ってさ?適度に手加減出来るし、棍とかあったら便利なのに…ってキーホルダー持って思ってたらいつの間にか変化?してた」 美羽「変化、変化、って…!お兄さん、至れり尽くせりがすぎない…?」 那緒「でもまあ、知識もらえるとは言っても、命の危険にさらされる仕事な訳だし…そう考えると妥当…かな?」 そのかわり、当たり前だけど仕事はしっかりこなさないとね、とどこか覚悟を決めた顔で笑いあう。 なにせ、どこにあるかもわからない歪み探しとなると、旅をするのが一番効率がいいわけで。 宿や店がどこにもあるという保証はないし、何よりこの世界には魔物がいる。 遅かれ早かれ、多かれ少なかれ、命を奪わなければならない。 「...でも、棍だけじゃ不安かな。せめて刀...ぅわ!?」 刀、と口に出した途端、手にした棍が薄く光り、(つば)無しの刀に変化した。 「...うわー...、なるほど、こうなってるわけだ」 ファンタジーだこと、何て少しの呆れと楽しさをにじませて鞘を払い、軽く素振りする。
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