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鏡を抜け、新たな‘世界’に足を踏み入れる。
後ろに浮かんでいる鍵穴にキーを差し込み、回せば、ゆらゆらと浮かんでいた部屋の風景がかき消えた。
鞄につけていた黒筒のキーホルダーをジーパンのベルト穴に付け替え、鍵をポーチのポケットに入れて、獣道をたどって二人は歩き出した。
美羽「う、わぁ...!」
那緒「...これは..すごい」
目の前に見えたのは天にも届くかというほどの大樹。葉々の一枚一枚が淡く輝き、周りにはとりどりの光が舞っている。
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精霊樹
精霊、妖精の母とも言える大樹。別名世界樹。蓄えた膨大な魔力を癒しの魔法に変え、辺りに散らしている。この樹の周りに居れば傷や病の治りが早くなるため、種を問わず生き物が集まる一種のセーフゾーンとなっている。年に一度、新しい精霊や妖精が一斉に生まれる日があり、聖霊祭と呼ばれている。
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ヴン、と視界の端に半透明の板のようなものが現れ、那緒の背負うリュックの中に吸い込まれていった。
那緒「.........。美羽、今の、見た?」
美羽「うん?何が?」
那緒「......いや、とりあえず、あの樹の下なら安全らしいから、そこで色々確認しようか」
美羽「うん...?わかった」
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