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1.
キーン・コーン・カーン・コーン
「はい、今日はここまで。次は少し飛ばして、127ページの『微分・積分』からやるから、しっかり予習しておくように!」
教壇から先生がいなくなった瞬間、机に突っ伏して、呻く生徒が一人...
「あー、やっと終わった~。やっぱ数学無理・・・」
?「・・・そう思うなら、何だって理系クラスに来るかねぇ、あんたは」
呻き声に反応して、前の女子生徒が少しあきれた声で返す。
「理系の方が進路先が狭くならないって思ったんだよ!少なくとも一年前は!あ~・・・マジで文理選択間違えた・・・」
?「でしょうね。文系ならまず、ギリギリでも文突に行けたでしょうに。いくら得意教科が国語と歴史関係だけとは言っても」
「もうなんとでもいって・・・今さらどうこうできないから。4限、何だっけ?」
?「体育よ」
「うわ・・・遠行の練習か。そろ移動しよ」
?「だね。男子と違って上部グラウンドからじゃないだけましだけど、それでも少し遠いからね~・・・」
「だよね。私ら女子は心臓破りが最後に待ち構えてないだけ幸せか。それ抜きにしても、半日で30キロ走破させるなんて鬼だと思うけど・・・」
そう会話をしながら、次の授業の準備に体育館へ向かう二人。
『・・・ここを・・たら・・・か。し・・・ない。少々ごう・・・が、こ・・・へ来て・・う』
廊下を歩いている途中に、さっき突っ伏していた生徒が、ふっと後ろを振り返った。
?「どうかしたの?」
「・・・ううん、なんか、声が聞こえた気がして」
?「ほー、ついに幻聴まで聞こえるようになったか」
「まさか。いくらファンタジー小説と空想が好きでも、そこまでじゃないって」
?「わかんないよー?」
「ちょっと!瑠璃!」
ルリ「冗談だっての。・・・やば、余鈴なった!那緒 、急ご!」
「あ、うん!」
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