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那緒と美羽の風呂は長い。湯船のなかで延々と「歌詞とり」をしているからだ。気がつくと一時間経っていることも珍しくはない。 美羽「♪~騒がしい未来が僕を~♪」 那緒「僕は笑い 翼を~♪」 美羽「翼がほしい この背中に鳥のように~♪」 那緒「鳥は詠う 銀の翼背にはためかせ 朝日 空に消える想いよ♪っし!勝ちィ!!」 方やうなだれ、方やガッツポーズをとる。 美羽「お姉~、たまにはボカロと歌い手以外も歌ってよー」 那緒「フッフッフ、勝負はガチで勝ちにいくものなのだよ!」 胸を張り、これでもかとドヤ顔を見せつける怜。なんとも大人げない。 美羽「ボカロ以上にレパートリーあるくせに、その方が取られにくいからってさぁ…」 那緒「美羽だって、ボカロの曲、レパートリー多いくせにそれ以外しか使わないじゃん」 美羽「ほとんどの曲はお姉が知ってるでしょ!私の知らない曲で取り返してくるし~…!」 那緒「悔しかったら、私の知らない曲を覚えて来ることだよ、はっはっはっはっはー!」 美羽「お姉、超棒読みだよ…?ぅ~……今度は絶対勝つから!」 那緒「まあ、がんばれがんばれー」 母「那緒!美羽!長すぎ!一時間以上経ってるよ!後が使えてるから、早くあがりなさい!」 那緒「はいはい、すぐにあがりまーす、っと」 浴室の引き戸を開け、二人とも寝間着に着替えだす。 那緒「美羽は明日学校だっけ?」 美羽「ううん、この前の参観日の振り替え」 那緒「あぁ!三年生は参観日だったね。じゃあ、下見の後は、まず1ヶ月、行ってみる?」 美羽「1ヶ月ってことは、30日だから、え~っと……、3時間?」 那緒「正解!」 美羽「うん、そのくらいなら大丈夫」
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