泣き虫姫のお伽噺

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「わたし、いっつもな、泣いてばかり……なの。だから、強く、なら、ならなくちゃ……ううううう」  泣きながら話すお姫様を見て、「ふぅん」と少年は声を出します。聞いているのかいないのか、よく分からない声です。その声にお姫様の不安は募ります。 (鬱陶しいって、思われてる、かな……?)  もし、そう思われていたら……そう思うと、いっそう涙が溢れてきます。視界が滲んで、少年の姿もはっきりとしません。  お姫様の涙に、少年は首を傾げました。 「何で、また泣くの?」 「だって、だってぇ……」  お姫様がしゃっくりを上げながら、自らの不安について語ると、少年は大声で笑い出します。もしかして、わたしの想像が当たってたから笑ってるんじゃ……。そんな気持ちが湧き上がって、また目の奥が熱くなります。 「ああ、もう、そんなに泣かないの。僕のお姫様は泣き虫だなぁ」 「なき、なきむしじゃ、ないわ」 「泣き虫でしょ」 「うううー」 『泣き虫』。その言葉に、お姫様は大粒の涙をポロポロと零します。泣き虫だなんて、不甲斐ない。わたしは王女なのに。  そんなお姫様を見て、少年は笑みを零しました。そしてお姫様の顎をクイ、と上げると、その涙を舌で味わいます。     
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