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『君が為 尽くす心は 水の泡 消えにし後は 澄み渡る空』
以蔵の辞世の句はこう伝わっている。
その心にはずっと武市のことがあったと考えられる一句だが、以蔵の心にあったのは武市ことだけだっただろうか?
以蔵と同じ日、武市半平太も切腹となり、以蔵以外にも自白した3名が斬首となっている。
だが、死を迎えたのはその五人だけで、他は永牢やお預けになるものが十数人いたものの、他は斬首のような罪には問われなかった。
そして、以蔵の弟、岡田啓吉も土佐勤王党の件で、罪に問われることはなく、以蔵亡き後、岡田家を継いだ。
啓吉の子供は大蔵省に入り、その後、たばこ専売に関わる。
そして、朝鮮総督府専売局技師から米星煙草貿易株式会社の社長となり、大正期に日本一の年商を誇ったこともある鈴木商店の専務も兼務するという出世を遂げることになる――。
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