第二章 安全カメラ地蔵

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第二章 安全カメラ地蔵

「明日から何をしょう・・・」 浅間は、その時になって初めて自分の残された時間の時間割を、自分自身の頭で立てる必要がある事を悟った。  退職して数日間は、毎日、テレビを見たり本を読んだりしていた。 でも、テレビや本は一方的に情報を押し付けて来るばかりで、そこから何かを生み出すのは自分自身の力でしかなかった。  いつしか、浅間は公園のベンチに一日中座って、行き交う人々の流れをただ呆然と眺めるのが日課になっていた。 『地縛霊って、自殺した場所に束縛されて、その場所から人々の暮らしを眺めているって聞いたことあるけど、俺って、正しく、公園の地縛霊だな』浅間は冗談半分で、そう思ったりもしていた。  そんなある日の事だった。 いつものように公園のベンチに腰掛けていると、 「キイーン。ガッシャーン」 という車のブレーキ音と、激しく何かが物にぶつかる音が聞こえて来た。 「何事だ・・・」  浅間は急いで音のする方に走り寄った。 ペシャンコになった自転車と、血だらけになった老人が倒れていた。 そして、逃げ去るように猛スピードで走り去る乗用車の姿が・・・。  浅間は急いで救急車を呼んだ。 しかし残念ながら、老人は即死だった。
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