40人が本棚に入れています
本棚に追加
第三章 ラジコンヘリ
その頃、浅間は公園で良く見かける小学生が気になっていた。
年の頃は十歳ぐらいか。いつも、三時ぐらいに来て、浅間が引き上げる七時ぐらいまで公園に居た。
そして、いつも一人ぼっちだった。
ある日、ラジコンヘリを持った小学生達が集まり、ご自慢のヘリを楽しそうに皆で飛ばし合っていた。いつも見る一人ぼっちの小学生は、その輪に加わる事もなく、羨ましそうに空を飛び交うヘリを眺めていた。
浅間もその小学生の視線の先に焦点を合わすように、ヘリを見詰めていた。
すると、ヘリはこちらに向かって飛んできた。
そんな時、急に突風が吹いた。
ヘリはその突風でバランスを崩したのか、ヘリを見守る小学生を目掛けて、まっしぐらに急降下して来た。
「危ない・・・」
浅間は、その小学生を庇うようして抱き抱えると、飛んできたヘリを手で叩き落した。
ヘリは地面に叩きつけられて、粉々に砕けた。
「何すんだ、このクソ、じじい」
「危ないじゃないか・・・」
「弁償しろ、じじい。じゃないと、器物破損で訴えてやる」
近頃のガキは、こういう事だけは良く知っている。
「じゃあ、俺の方は過失傷害で告訴してやる」
浅間は息巻くガキに言い返した。
「もう行こうぜ・・・」
その集団のリーダーらしきガキが後方から叫んだ。
小学生達はヘリを小脇に抱えると、そそくさと消えて行った。
「大丈夫か、坊主」
最初のコメントを投稿しよう!