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ある日、村に巨大なドラゴンが現れて言いました。
『俺は腹が減っている。村の中で一番美味い奴を次の満月の夜に寄越せ。寄越さねば村を丸ごと食ってやる』
理不尽かつ突然の宣告に、村の大人たちは驚き、当然怒りました。
ドラゴンに抵抗しようと武器を手に取りましたが、いざドラゴンを目の前にすると、その圧倒的な存在感に萎縮してしまい、実際に攻撃をしかけられた者はいませんでした。
ドラゴンはそんな村の人たちの、腰の引けた様子をあざ笑います。
『満月の夜までにきちんと用意しておけよ』
そういってドラゴンは山の奥へと消えていってしまいました。
村の人たちはどうすべきか話し合います。
村を捨てて逃げようにも、季節は秋。冬を越える準備がようやくできたところでした。
それらを捨てて逃げたところで、冬を越えられずに死ぬことは目に見えています。
彼らにはドラゴンの言うとおりにするしか、道がなかったのです。
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