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次に、村一番の力自慢であるゴーレヌさんが手を挙げました。
豪気な性格で、村の若い男の人たちの憧れの存在でもあります。
面倒見がよくて、慕っている人も多いとか。
「俺なら喰いでもあるし、文句は言われねえだろう。……それに、もしドラゴンが隙を見せたらぶっ殺してやれるからな」
頼もしい言葉でしたが、それには村長さんから待ったがかかりました。
「いや、ダメじゃ。ゴーレヌ。お主を失うわけにはいかん」
ゴーレヌさんは重要な労働力として失うわけにはいかない、というのです。
確かに、もしゴーレヌさんが犠牲になってしまったら、村の作業効率は著しく低下します。そうなると、仮に冬を乗り越えても次の年が大変なことになるのは目に見えています。
「でもよ村長! 俺があいつを倒しちまえばいいんだろ?」
そうすれば誰も犠牲にならずに済みます。
けど、ゴーレヌさんがそのことを口にしても、村長さんは首を縦には振りませんでした。
「残念じゃが、隙を突いて倒せる程度なら苦労はせんよ。第一、さっきもほとんど動けんかったじゃろ」
確かにそうでした。
いまはドラゴンが目の前にいないからゴーレヌさんも強気ですが、いざ本物を目の前にしたときは全く動けていませんでした。
ゴーレヌさんもそれは自覚していたのか、悔しそうに引き下がります。
他の候補を探すしかありません。
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