保育所実習の朝

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保育所実習の朝

六月二日。 天気はというと、カラッと快晴の文句なし。 空高く雲雀が囀ずり、トンビが輪を描いて嬉しそうに鳴いていた。 そんな気持ちの良い日。 僕、麻生(あそう)大夢(ひろむ)は高まる心臓を落ち着けようと、深呼吸を繰り返した。 あーッ、いよいよだよ~。 嫌だなぁ…。 こんなにドキドキした事って、今まで少ししか無いと思う。 その中でも最高に緊張しているかもしれない。 「落ち着こう。緊張を解さないと」 僕は自分の気持ちを落ち着けようと、忘れ物がないかを再確認した。 初めから忘れ物を取りに家へ帰るなんて、そんな事は出来ない。 僕は玄関に腰を下ろすと、肩に掛けていた鞄の中身を確かめた。 実習日誌と実習の手引きと判子。 タオルにハンカチ、ティッシュと筆記用具…一応、腹痛止めの薬も入れて、と。 それとシューズも。 あとは、実習着。と言っても、名前の入ったエプロンなんだけどね。
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