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日向は朝が来ると、すぐにそのことに気付いた。 ふわりと暗がりが薄くなり、青が濃くなってゆく様子を目の前にし、日向の瞼はシャッターを切るように、閉じたり開いたりを繰り返す。 日向はよく、くすんだ白いソファで寝ていた。 お気に入りの品なのか、薄いタオル地の布切れに意地を張るように、いつでも包まっていた。 日向は、いつも気付けば頭から布切れに包っている。 そのせいで、布切れの先端から日向の天使みたいに色の薄い髪の毛が、トウモロコシの房のように、ソファからいつもしなりと垂れていた。 僕はその布切れとトウモロコシの房を見て、日向が寝ていることに気が付く。 そして日向のやわい髪に触れると、綿菓子のように甘く溶けて消えそうで、僕は怯えた。 貝殻から何も出さぬよう、すぐに手を離した。 そうして僕が日向を残して部屋のドアを開けるとき、日向は必ず「鍵は閉めていいけど、首は絞めないでいい」と告げた。
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