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日向はよく僕の昔のことを知りたがった。
小学生の頃まで関西に住んでいたとか、中学校のときにはサッカー部に入っていたとか。
僕は尋ねられたぶんだけ、適量、彼女に話した。
高校のときに、僕が好きだったひとが自分で死んだ話もした。
「その死んじゃった子は、あたしに似てる?」
「あんまり似てない。黒くて、長い髪だった」
「あたしの見た目はそうじゃない?」
「日向の見た目は天使みたいだろう」
「天使かなあ」
「逆に、死神かも」
「お前、殺しちゃうぞ」
「笑えるね」
「そう?」
「そうだよ」
「人を殺しちゃいけないよ」
それから僕は皮肉を口にした。
「自分で死ぬのは別にいいらしいけど」
「そうなんだ」
「死にたい?」
「死にたくない」
僕は彼女の青い目を見た。
「死にたくないよ、俺はね」
僕は余計なことを言った。
「そう」
日向はくしゃりと笑った。
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