宇藤さんと置手紙

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 いつもと変わらぬ瀟洒な喫茶店の入り口には、たしかに《CLOSE》の札がかかっている。 「鍵はかかっていないわ」  どうやら医院に来る前、宇藤さんが居るかどうか中に入ったらしい。誰もドアに手を掛けようとしないので、俺が無造作に開ける。ドアベルがいつもの音を立てるものの、宇藤さんの笑顔はない。  声を掛けても返事がなかったので、三人は思い思いに店内を捜し始める。  暫くすると辻が二人を呼びつけた。どうやら冷蔵庫の中に置手紙があったらしい。そもそも何故冷蔵庫の中を確認したのだろうか。医者だからといって遺体安置という発想だったわけじゃないだろうな。
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