郊外の喫茶店

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 少々気まずい空気が流れているところに宇藤さんが奥から箱を持ってくる。珍しく俺たちにご馳走しようというのかと思ったが違った。 「はい、これ頼まれていたケーキ」 「またかよ」 「いいじゃない。子供たちはケーキが好きなんだから」  田居は孤児院を運営している。家庭の温もりというものを知らない子たちに家族かのように接する。どうしてそんなことをしているのかと尋ねたことはあったが、答えをはぐらかされてしまったことがある。たぶん彼女自身も分からないのだろう。そのことを掘り下げても仕方ないとも思っている。 「こんなことばっかしてると、婚期逃すぞ」 「うっさい」  すぐに口を尖らすのが田居の癖だ。本人は気づいているのだろうか。
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