郊外の喫茶店

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「必ずいい人に出会いますよ」 「ありがとう」  微笑みあってるが、辻は眼中にないのだろうか。医者だぞ? 「子供の相手をしていると気が楽なのよね。マスターありがとう。それじゃ行ってきます」  ケーキの入った箱を手に、田居は喫茶店を後にした。  久しく食べていないことを思い出した俺を見透かしていたかのように、宇藤さんがケーキを運んでくる。 「たまにはご馳走しますよ」 「宇藤さんのケーキ、美味しいんですよね」  辻も嬉しそうだった。甘いものがあまり得意ではない俺もマスターが作ったものだけは口にすることができた。そんじょそこらのケーキ屋よりよっぽど口当たりも柔らかく美味しいのだ。  冷めきったコーヒーを啜りながら穏やかな時間を満喫する。まさか二度と口にすることができないとは、この時思いもしなかった。
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