21人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほんとーなーらば今頃ー、ボクのベッドにはー、あなーたがーあなーたがーあなたが居て欲しい
今度生まーれた時にはー、約束ーしよーおー、誰にも邪魔させない、二人の事をー」
青空に向け、大声で歌った。
「読んでもらえるだろうかー、手紙を書こーおー、あなーたにーあなーたにー、あなたにラブレター
新しいステレオ―を注文したよー、ボクーのー所へ、あそびにおいでー」
澄まし顔のブタマンと、恥ずかしそうな田中と目を合わせながら、あのバンドのボーカルみたいに、全身の力を抜いて、おどけた体の揺らし方で。
「あーあー、ラブレター 百分の一でもー
あーあー、ラブレター 信じて欲しーい」
目の前をアゲハ蝶が横切った。思わず目で追うも、滑り台の上にとまり、陽の光が眩しすぎて、それ以上は見ていられなかった。
「ほかの誰にも言えないー 本当のことー
あなーたよー、あなーたよー、しあわせになれー
あなーたよー! あなーたよー! しあわせになれー」
歌い終わって、笑いながら、二つのことが分かった。
一つは、叶った夢のこと。もう一つは、あの日見たコスモスに、何が足りなかったのか。
―END―
最初のコメントを投稿しよう!