第三章 人生の幕開け

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 そして明日。俺は遂に初めての仕事に出向く事となる。  相手は最初に紹介されたうちの一人で、若い実業家。名前は笹原祐樹さん、三十ニ歳。白井さんの三つ下だ。驚く事に白井さんは俺の予想より少しばかり年を食っていた。身体付きや顔付きは若く見える。しかし確かにあの落ち着き過ぎた雰囲気は、三十前後では持てないだろうけれど。?  話しを戻すと、笹原さんは少し金を持っている普通の人だ。顔は普通、背も普通、身体つきも普通。ただ、顔合わせで会った感じは凄く優しそうな人だった。  だがこの頃の俺は優しそうな人に酷く警戒心が強くなっていたから、あまり印象は良くなかったけれど。愛人を買おうなんて人間はたかが知れている。だから明日が酷く憂鬱で、その日は夜まで布団の中から出れなかった。
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