第八回

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「何、それも次第にわかりましょう」  助九郎は欠伸をした。友矩も言った相手が助九郎でなければ瞬時に無礼討ちにしたであろう。 「楓も帰ってこぬ、殺されたのか……」  友矩の言う楓とは柳影七傑の一人で、くノ一である。体術も群を抜き、密命を帯びて土地に入れば、女としての房中術にも長けており、暗殺の他にも活躍の場を持つ女だ。  楓が駿河に到着したその日に、友矩は忠長の元に密偵として楓を放っている。忠長の身辺を探り、可能であれば忠長を暗殺せよと。その楓が行方知れずになってしまってから、裏柳生の停滞が始まっているのだ。 「あの毒婦め!」  脳裏に楓の毒々しくも妖しい美貌が浮かび友矩は苦々しく叫んだ。 「まあまあ」  とは助九郎である。そういうのんきな態度が十兵衞と似通っている。友矩には面白くない。基本的な相性が悪いのだ。 「今日の内には風間伊助も到着しましょう」  風間伊助も柳影七傑の一人で、主に東北地方で隠密の役に就いていた。  風間伊助は道を急いでいた。  日は暮れかけている。密命の早馬の命を受け、馬にて駿河へと急ぐ途中であった。山間の狭き道中を、馬を走らせ伊助は助九郎の道場を目指す。     
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