第八回

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 猿飛の名の示す通り、軽快な身のこなしである。そして鎖を編み込んだ黒装束を容易く切り裂いて、裏柳生の者を絶命させていく。まるで魔術を見るかのような佐助の斬殺術である。  霧が次第に晴れてきた。前後の者の顔くらいは判別ができるほどに。  佐助の眼前には茫然自失となっていた黒装束が一人突っ立っていた。 「うわあ!」  黒装束は刀を振り上げ佐助に打ち込んだ。死にもの狂いの一刀は佐助には通用しない。  僅かに身を開いて佐助はその一刀をかわした。 「貴様、何者!?」  黒装束の男は柳影七傑の一人、杉山三郎であった。 「猿飛佐助!」  佐助は名乗ると同時に下方から手刀を突きだした。  鋭い手刀が杉山の喉に突き刺さる。素手の手刀が杉山の喉を貫き絶命させた。
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