かつては夢だった現実

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店に着き、席に座り、パフェを頼む。そしてしばらくして物がきて、パフェを食べる。 ………………。 うん。想像できると思うが、何も話すことなどなく 沈黙がただ続いていた。 しばらくして、彼が鞄からノートを取り出した。 ノートを開きシャーペンを取り出して何か記入し始めた。「ん。気にせずに食べてていいよー。」 ノートには歌詞?みたいな文が記入されており、そこに 文の文頭、途中、などにレ点を記入し始めた。 「何記入してるの?」と何となく彼に聞いてみた。 こんな、普通な感じに異性に話すのは人生初めてである。だがしかし、私はその時まだ彼に自分から話しかけたことに気づいてなかったのだ。 「これは歌詞を歌うときのブレスをチェック入れてるんだよ。」 「ブレス?」 「息継ぎの事だよ。」 「そうなんだ。」 そしてもう1つ不思議に思ってたほんの些細な事を聞いてみた。 「なんであんなに古い曲を流したの?」 彼はペンを止め、そして 「今の時代にはない原点の良さみたいなものを知ってほしかったんだ。」 「単純に好きな曲だからじゃないの?」 「それもある。」 そして続けて彼は 「今の人達って、新しいもの新しいものって後ろを振り返る機会がホントに減ってると思う。」 私は頭の中が?だった。 「例えば音楽。新しいもの、流行りのものばかり聞いてるだけで、この感じの音はどこから、いつから生まれたのだろうか。みたいな感じでジャンルの歴史を知ろうとしない。」 「恋愛も同じで、別れて直ぐに新しい者を探したがるし、嫌な思い出でもその時好きだった自分達を振り替えって敬うことも出来ない。最近の人はそういう人ばかりだと思う。」 彼は少し真剣な顔して語ってきた。何となくだけど私は彼の言ってることが理解できた。 「なるほどなぁ。 でもじゃあなんでそれで昔の曲を流すのに繋がるの?。」 彼は言った。 「音楽は今本当に価値観が無くなってきてると思うんだ。いい意味でも悪い意味でも。 いい意味なのは音楽は誰にでも寄り添えるような芸術になってきてる。配信、ダウンロード、データ化 、 悪い意味は、寄り添いすぎて、価値が軽くなってきてると思う。昔はCD、ライブなど、俺達が動かなければ音楽を聴くことは出来なかった。 だから、少しでも歴史を知って音楽に対する見方と、聞き方を変えてほしかった。 こんなこと考えるのは俺が歌手目指してるからなんだけどね。」
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