だんだん心惹かれて

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「宇都宮京介、いつまで寝てるんだ。いい加減に起きろ!」と数学の時間、隣の席の男子が先生に怒られる。そいつは昨日うんこ漏らした彼だった。 宇都宮京介っていうんだ。…ここまできて初めて知った名前だ。にしても長い。宇都宮京介… 宇都宮… ウツ。うん。ウツだな。 勝手に呼び名を考えていた。勿論そんなに仲良くしてるわけではないのだ。ただ、うつ病のウツみたいな感じで響きが面白かったのであいつのあだ名に決めた。私だけの。 キーンコーンカーンコーン 終了のチャイムがなり、お昼タイムがやって来た 「結菜、たべよ!」「うん。一実。」 私と一実とその他の女子で食事をするのがようやく固定してきて楽しくなった昼休み。 一実以外にもちゃんと話せる人ができたのが嬉しい。「結菜ちゃんは好きな一いないの~?」 と、咄嗟に聞かれるが、「私はいないかなぁ。」 って答えて話は終わってしまうけど…。 「京介!今時間あるか~?」 すると別のクラスの男子が教室に入ってきて、うんこ漏らした彼に話しかけてきた。 「おお!寅泰、どうした。」 「曲の仮歌が出来たんだ。」 すると「まじで!?きくきく!!」と彼がやけに嬉しそうだった。 すると、他クラスの彼は 「やば、イヤホン忘れちゃったからちょっと直で流すね。」 「まわりの人少し我慢してくださいね…廊下だと先生にバレて音楽プレーヤー没収されちゃうんで。」 とさっき覚えたばかりの宇都宮京介くんが 近くでご飯を食べてる私たちに言ってきた。
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