乾いた風にかき消されて聞こえない。

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「結菜から男子に話しかけるなんてホントに珍しいこともあるんだね。しかも会話の内容なんてほんとにどうでもいいことだし」 一実に言われたことは100%合ってる。 曲を流したのが彼だからなんなのだ。私もそう思うし一実もそう思って当たり前だろう。 ただ、恥ずかしいことに男子に自分から話しかけることなんて初めての事だったし、何より彼の歌声が頭から離れないのがちょっと特別なことなのかな?なんてメルヘンに思ってしまう自分がいるのだ。 勿論、好きなんて感情は無く、強いて言うのならば友達になれるのかな?ぐらいの感情である。 「んで、その後彼とは会話したの?」 と質問してくる一実 「ううん。全く。話すことも無いし。」 と答える私 二人で話してるその時、ドッ と後ろからボールが飛んできて私の背中に命中した。 「いっいった…」とボールが飛んできた方向に体を向けると 「あー…ごめんなさい~…」と覇気の無い、誠意の無いような謝罪をしてボールを取りに来た男子。 よくみると例の彼である。 「ちょっと!女の子に当ててそんな謝りかたないでしょー。」と一実が言う。 「うるさいなぁ。この子の保護者かよ。ガミガミうるさいとモテないよ?」 「余計なお世話だわ。だいたい初対面だって言うのになんなのその馴れ馴れしい態度。」 と反撃する一実。 「ごめんねボール当てて」 一実をスルーして私に話しかけてきた 「あ、あ、え?あ、うん。大丈夫…」 そして 「あ、君昨日の女の子だ。昨日話しかけてきてくれたよね。俺の好きな音楽聴いてくれた子だ。」 「え?じゃあこの人なの?結菜が言ってた人って」 と一実が私に聞いてくる。 「うん。」
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