0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
日曜日の夕飯時を過ぎた時間に行くと、大抵その席は空いていた。国道沿いのファミレスは、日曜日の遅い時間になると急に空く。
貴裕は誰もいないドリンクバーに行って、カフェラテを入れて席に戻る。
と、ちょこんと少女が座っている。
広げてあった参考書をどけて少女の向かい側の席に座り、少女をじっと見つめる。
「私、いちごミルクが良いなぁ」
「またかよ、自分で取りに行けよ」
「いやだー、重いもん」
「全くどこのお嬢さんだよ」
チッと舌打ちしながら、立ち上がってまたドリンクバーへと向かう貴裕を少女はニヤニヤと見つめる。
「なんだかんだで優しいんだよね、貴裕くんはさ」
まばらになった車を窓から眺めながら、少女は貴裕の帰りを待つ。
「ほらよ」
差し出されたいちごミルクにはスプーンが刺さっている。
「もー、またスプーン突っ込んでくるんだからー」
「どうせ、かき混ぜんだろ?」
「そうじゃないんだよねー、貴裕それじゃモテないよ?こうさ、繊細な気配りがないとさ」
「うっせーよ」
貴裕は少女の抗議を無視して、スプーンをぐるぐると回す。白かったいちごミルクはあっという間に薄ピンクへと色を変える。
最初のコメントを投稿しよう!