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「…もうこの国は終わりなんです、シャル様」
オレオットはゆっくりと足を止めた。
「ど、ういう、こと?」
「この騒ぎは領主と我が国の市民のクーデターです。首都は市民と他国の兵に囲まれています。もう逃げる隙もありません」
なぜ、国がこのようになったのか分からないシャルは、ただ自分の身が危険な状態なのだけはわかった。
オレオットはシャルを草の上に大事そうに下した。不思議に思ってオレオットを見上げる。
「…オレオット?」
「シャル様、死ぬ前に俺にご慈悲をください」
「な、に…」
「ずっと好きでした、シャル様」
オレオットはシャルの唇に自分の唇を押し当てる。
「うーーー」
「幼い頃からあなたの唇にこうして口づけをするのを何度夢見たことか」
恍惚とした顔でオレオットはシャルの両手を片手で抑えて、シャルを見つめる。
「い、や」
ナイトドレスも破かれる。必死に足で抵抗するが、軽々抑えられ体を触れられる。
「な、んで。…ん!」
「俺だけのお姫様…誰にも渡さない…命が落ちるというのなら、あなたのすべてを手に入れてから死にたい」
「や…やめて!オレオット!!」
乳首を甘噛みされながら、下着を脱がされる。足や腹を嘗め回されてオレオットに恐怖しか感じられなくなった。
「い、や、お願い」
気持ち悪すぎて涙が止まらないシャルの言葉はオレオットに聞こえることはない。
「大丈夫ですよ、シャルさま。死ぬまで僕はそばにいますからね」
「いや!!」
勢いよく、足をオレオットの股にぶつける。
「うっ」
オレオットがシャルの横に転がった隙に、森へと逃げだした。枝や葉が肌のかすめて痛みが感じたが、がむしゃらに走って今はどこかへ逃げたかった。
どのくらい走っただろうか。何か大きなものにつまずき、倒れた。
「う」
転んだ足元を見ると、人だった。血だまりに倒れていた女はどこか見覚えのあるものだった。
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