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第2章 少年の話
「おまえら、仕事の時間だぞ」
にたりと笑った男が檻の鍵を開けて中に入っていく。
薄暗い城の地下室の檻の中に何十人の子供が身を小さくして片隅に集まっている。
子供たちは手錠とはめられていて、恐怖で震えながら男を見つめた。
「領主ご夫妻のご所望は、緑色の瞳に黒髪の女と、緑色の瞳で金髪の男っと。…そこのおまえら!来い!」
手元の紙を見ながら、男は指名された子供を探す。言われた子供たちはびくっと体を震わせたが、男は2人の腕をつかみ檻の外へ放り出した。
「こいつらを洗って、上等な服を着せろ。客を待たせるな。…おまえらも逃げたり逆らったりしたらどうなるかわかっているな?」
子供たちは互いに身を寄せて、震えた。前に逃げ出そうとしたときに折檻されたときのことを思い出したのだろう。
互いに別々の男の仲間に連れられて、領主さまの貢物として身なりを整えさせられた。
金髪の少年は上等な服を着せられて、いつもの客間に押し入れられる。
「やっと来たわね、私のかわいい子」
月明かりのみで照らされた部屋でにっこり笑って迎えたのは、綺麗な貴婦人だ。この城の領主人らしい。
夫人の笑顔は今では貼り付けられた仮面のようにしか見えない。
「ベッドに寝かせて」
一緒に入ってきた男が少年の手と足についていた枷をベッドについている枷にはめなおした。男は鍵を夫人に渡し、礼をして扉から出て行った。
枷でベッドか身動きが取れなくなった少年はあきらめの境地にいた。
「やっと2人きりになったわね」
貼り付けた笑顔でこちらに夫人はベッドに歩み寄り、仰向けに寝かせられている少年に覆いかぶさる。
「あぁ、なんてきれいな瞳なのかしら。肌もツルツル。…うふふふ」
少年はゆっくりと顔を手と舌でなぞられる。その感覚に気持ち悪さしか感じず、目をつぶり時がたつのを待った。
「目をつぶっちゃって、かわいい。…でも、何も反応してくれないのね。じゃあ」
つまらなそうな顔をして夫人はベッドから下り、何かを手にもってきた。
「これで叩けば少しはいい声で鳴いてくれるのかしら」
彼女の手には鞭が握られていた。少年は恐怖の顔にゆがむ。
「そう!…その顔よ!恐怖で歪められたその顔…。あぁ、ゾクゾクしちゃう」
恍惚と少年を見る夫人はどこか狂っていた。
「や、やめ」
「ふふふ、かわいい声で鳴いて?」
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