0人が本棚に入れています
本棚に追加
口をゆすぐと牛肉の物なのか血が滲む。
「今日は大人しく寝ていよう…」
着替えようとシャツを脱ぐと脇腹が抉れていた。
「何だこれ!…でも痛くない。」
傷口は何かに引きちぎられた様に無惨な見た目をしており、膿んでいる。
「昔は麻酔代わりに酒を使ったって聞いたことあるし、きっとそれだ。」
朝から不可解な事が起こりすぎて頭が混乱したため無理矢理納得をして、傷口を消毒をしてガーゼで塞いだ。
塞ぎながら段々と思い出してきた。
「昨日、友達何人かとクラブに行って夜通し騒ぐ勢いだった…その後、突然飛びかかってきた奴がいて、…いて何だっけ…」
考えながら階段を上がりかけて外の騒ぎが気になった。
「いつまでやってんだよ…警察呼ぶかな…」
玄関に行き、ドアを開けようとして気づいた。玄関ドアの窓ガラスが血まみれになっていたのだ。
「え~…」
鍵を開けて外をそっと覗くと近所の人達が取っ組み合ったり、掴みかかったりしていた。
「みんな何やってんだよ…」
恐ろしい光景にドアを閉めかけた時、見てしまった。
何人かが白目を向いて他の人に噛みついているところを。
「ゾ、ゾンビ?そんな訳…」
今度こそ閉めようとすると、誰かが走ってきた。
近所でも美人と噂の優梨子さんだ。
血まみれだが、白目は向いていない。
「た、助けて!入れて!」
「優梨子さん!早く!早く!」
後ろから来ている白目を向いている奴らからギリギリ逃げ延び、優梨子さんは玄関に飛びこんできた。
ドアを閉めて鍵をかけると外からうめき声や奇声が聞こえた。
「うがぁぁぁ…」
「うおぉぉぉ…」
きっと正気ではないのだろうと感じ、ふと優梨子さんを見ると震えていた。
「大丈夫ですか?」
「うん…ありがとう。助かった。」
優梨子さんはとっさに抱きついてきた。
生まれてから24年間女性と付き合った事もなく、もちろん抱きつかれるなんてなかったため、ドキドキしていた。
「良かった…です。」
幸せだからか頭がクラクラする。
優梨子さん、良い匂いするなぁ…
何のセン剤使てるんだろう…
いや、ホンニンの…ニオ…
イイニオイ…
…オイシイ。
最初のコメントを投稿しよう!