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「う、う~ん…」
いつもと変わらない朝の筈だが、少し身体が重い。
外では酔っぱらいが集団で喧嘩をしているのか怒号や奇声、悲鳴が聞こえる。
「朝からうるさいなぁ…にしても昨日は友達と呑みに行って…あれ?」
二日酔いで何も思い出せないが、きっと何だかんだで帰ってこれたんだろう。
時計を見ると10時を過ぎており、24歳、社会人2年目にして仕事が休みだから良かったものの少し寝すぎた気がする。
「朝ごはん食べよ…」
2階にある自室からリビングに降りると
毎日早起きしているはずの両親がいなかった。
「珍しいな。二人も寝坊かな。」
顔を洗うために洗面所へ向かうが何か足元がおぼつかない。
「寝起きと二日酔いでめまいがしてふらつく…」
まだ酔っぱらい達は暴れているのか奇声が聞こえる。
そんな事を気にせずに、いつも以上に大きい顎が外れるかと思う程の欠伸をして鏡に向かってギョッとした。
ホントに顎が外れていた。外れて下顎が垂れ下がっていたのだ。
「へ…なんへ…」
痛みも感じなかったため、ダメ元ではめようとするとバキッと鳴ってはいけなさそうな音がして顎がはまった。
「やっぱり痛くない…っていうか顔色悪いなぁ…」
鏡に映る自分の顔は目が窪みクマが出て頬が痩けていた。
「二日酔いってこんなんだっけな…」
顔を洗って気を取り直して軽くでも朝食を食べようと冷蔵庫を開けるが大した物は見当たらない。
「どうしよう…ん?」
冷蔵庫のチルド室に生の牛肉が入っていた。
夕飯にすき焼きでもやるのだろうか。
「二日酔いだけど無性に食べたい…少しならいいか。」
肉を取り出すと味付けをしようとまな板に並べる。
「さてと、どうやって…」
先ほど以上の目眩に襲われると立っていられなくなり倒れこんだ。
「ん…気を失ってたのか…うわっ!」
目眩から覚めると並べていた牛肉をむさぼっていた。生のままでだ。
「おえっ…最悪だ。でも美味しい…」
美味しい筈が無いのだが酔いの影響か美味しく感じる。
だが、身体には悪いためぐちゃぐちゃになった牛肉を生ゴミに捨てると再び洗面所に向かった。
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