薔薇の花

お父さんは、持っていたたくさん深紅の薔薇の花束を、そっと母の眠る棺の中に入れました。

父と2人で母を見送ったあと、私は父に尋ねました。

母さんには何本の薔薇を送ったの、と。

父さんは微笑んで、

999本だよ、と答えました。

999本という本数にどんな意味があるのかわからなかった私は、どうせならきっちり1000本入れてあげれば良かったのに、と父に言いました。

それを聞いた父は、そのうちわかる日が来るよ、といつかの母と同じことを言いました。