福島女性教員宅便槽内怪死事件

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仕事は隣町の原発保守を行う会社で営業主任を勤めていて、 村では青年会のレクリエーション担当部長として中心的存在。 明るく人望もあり、結婚式では司会をよく頼まれ、 村の村長選挙では応援演説を頼まれるほどの存在だったからだ。  そんなSさんが覗きをするために便槽に忍び込むとは考えられない、 彼を知る誰もがそう話していた。  また、住民のAさんは大喪の礼などで二十四日から二十七日まで休暇を取っており、 県内の実家へ帰省しており留守だった。後述するようにSさんとAさんは知人であり、 Aさんが留守という事を知っていた可能性がある。 もし知っていたらこのタイミングに覗き目的で便槽に侵入することはありえない。  Sさんの足取りにも疑念が残る。 遺体で発見される4日前の24日(昭和天皇の大喪の礼当日)から足取りが途絶えていたのだ。 5日前の23日に先輩の送別会に出席、翌24日深夜1時ごろに店を出た。 その日の午前10時ごろ、父親は居間でテレビを見ていると、 「ちょっと行ってくるからな」というSさんの声を聞いたのを記憶している。 そこから遺体発見までの4日間、Sさんの足取りはプッツリと途絶えてしまっているのだ。  車は教員住宅近くの農協駐車場で、カギを付けた状態で発見されている。 それに靴の片方が土手で発見されているのも不可解だし、
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