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「うそだ…」
「こんなつまらない嘘つかない!!
ずっとずっと好きだったのに、全然気づいてくれないんだもん…。」
彼女の鼻は心なしかさっきよりも赤みが増し、ウルウルと黒目が光っていた。
「なんだ…そうだったのかよ…。
俺、てっきり兄貴のことが好きなんだと…。
本当によかった」
「途中であなたが変な勘違いしてることに気づいてちょっとソレを利用した部分もあるけどね」
てへ、と笑う彼女の頬に雪が舞い降りた。
頬に手を伸ばし親指で雪の雫をぬぐいとる。
「本当は言うつもりなかったんだよ。
悔しいけどおまえが幸せになるなら、おまえとおまえの好きな人を応援してやりたかったんだ」
「わかってるよ。
そういうところが好きなんだもん」
彼女はにっこりと笑った。
今までで一番可愛い笑顔だった。
「さ!帰ろ!」
彼女は俺の手を取った。
彼女の冷たい手をギュッと握る。
俺が触れることはないと思っていた小さな手。
愛しい気持ちが溢れ出す。
「好きだよ」
「うん!知ってる!!」
そう言って今度はニッといたずらに笑った。
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