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「宰相よ!どういうことか!」
「ですから、第一王女殿下がウェルナンデ王国から独立なされたと申しておるのです。」
ここはウェルナンデ王国、国王執務室。朝から響き渡るのはこの国の主であるファルス・ディサイファ・ウェルナンデ国王の怒声であった。
『ウェルナンデ王国始まって以来の愚王』と密かに噂されているこの王は歴史ある名家から嫁いだ正妃を蔑ろにし、庶民出の側室を寵愛。しかも側室は街で見初めた国王が権力にものを合わせ無理矢理娶ったという。この出来事があったおかげでファルス国王の支持度は正妃に同情する貴族、側室に同情する庶民たち共に地に落ちたという。「第一王女殿下がいなければ暴動が起きてウェルナンデ王国は地図上から姿を消していただろう」とは公然の秘密である。
以上のことを王は知らない。それ故の『愚王』である。
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