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黒髪黒目の美貌の青年が、私が被っているヴェールを取り外してくれた。
「ばかばかしいですね、まったく」
「ヴェールありがと、邪魔なんだよ。母様の指示がなければ絶対被りたくない…」
私のヴェールを取ってくれたこいつは私の護衛騎士のシュバルツ・マグナム。通称バル。マグナム辺境伯家の次男だ。基本的に不敬なやつ。話してて気楽ないい人だと思うけど王族だよ、私。馴れ馴れしすぎない?と思うことは日常茶飯事。他の王族…叔母様あたりだったら不敬罪で処罰されるぞ。
まあ、こいつの気軽な態度のおかげでこの親に精神的虐待を受けている状況でも元気にやって行けてるんだと思う。そう思うとなんか腹立ってくる。なんでだろう?
「姫さん、半端なく頭いいですし護衛の俺より強いですしアィリア殿下もお可愛らしいですが、それを遥かに超越する程美人だっていうのになんで王は気づかないんですかね。王妃陛下や側室様はとっくにご存知のようですのに」
「何言ってるの。リィリアの方がよっぽど可愛いじゃない。あの子は地上の天使よ。一昨日なんてね、あの子私に少しはにかみながら『お姉様、おはようございます』って!ほんっとに可愛くって朝から私は噴火寸前よ!」
そう。私は義妹であるアィリアのことを心の底から愛してる。この不遜従者に若干引かれようとも今日も義妹はかわいい!
「…姫さん、反論するところはそこじゃないと思うんだ」
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