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20XX年 東京
「畜生! どうして俺だけフォロワーが少ないんだ!」
粉々に割れた液晶画面に青白い影が揺らめいていた。今はもう使えない二つ折り携帯。西暦20XX年の東京では資源ゴミにもならない。
とっくに寿命が尽きて充電できない筈のバッテリー。それがパンパンに膨らんで、なお電圧を保っている。
秋葉原の片隅に人垣ができている。遠巻きに見守る野次馬に向かって過去の遺物がわめいた。
「どいつもこいつもフォロワー数何万と稼ぎやがって! リア充炎上しろ!!」
人々はその言葉の意味が理解できない。体内埋め込み型のマイクロチップが普及した時代。顔を合わせるだけで交友関係がリストアップされる。
顔見知りとマブダチの違いは親密度の濃度で色分けされる。昔のようにフォロー返しをしたり、結婚前提の交際を申し込んだりする手続きじたいが消滅していた。
「何がパーリーピーポーだ馬鹿野郎!」
群衆に通話主の怒りは通じない。キョトンとした少女が無意識に手をのばした。
「触っちゃダメだ!」
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