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青白いビームが間に割り込んだ。少女はギョッとして腕を引っ込める。振り向くと黒づくめのゴスロリ娘が佇んでいた。歳は十四、五といったところか。拒食症かと思わせるような痩せ型で、彫の深い顔に不気味な死の影が落ちている。
「何ぞこれ? それってインスタ映えすんの?」
バッテリーの切れた携帯が容赦なく罵倒する。
「死語は冥府でほざけや」
ゴスロリ少女がゆっくりと右手をあげると、携帯がふわりと宙に浮いた。
「おっ、おっ、殺んの? 殺んの? じゃあ、俺も殺っちゃうよ!」
携帯の背面カバーが外れて、ジュクジュクした汁がしたたり落ちる。
「危険です! さがってください!!」
ゴスロリ少女が言い終えぬうちに人だかりがかき消えた。
「おっ、おっ、ガチバトル? 滾るなぁ~~♪」
電話口の男は期待に胸を膨らませる。少女は消えそうな瞼をさらに細めて、こう言った。
「お前なんか浄化す価値もない」
「うるせえ!」
閃光が無人の街を赤く染め、同時にエメラルドグリーンのとばりが路面に降りた。
ゴスロリ少女は力士が張り手を食らわすようなポーズでビームを放っている。その先には光の三原色がうずまいている。
「浄化す価値はないけど成仏してもらうわ」
カラフルな繭の表面から内側に向かって無数の稲妻がほとばしる。その焦点で「へ」の字が激しく開閉している。
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