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第二章 駒すすめ
夏休み終わり一週間前の登校日。色葉が亡くなったことはきっと学校中の噂になっていると予想していた。しかしそれは大きく外れた。ガラッと教室のドアを開けてもいつもと変わらぬ光景が広がっている。
「白光さんおはよう。」
誰かが声をかけてきたがまるで心に入ってこなかった。私はずんずんと教室の中を進む。窓際の一番後ろ、色葉の、色葉の席がない。私の中でふつふつと怒りが込み上げ、荷物を席へ雑に置くなり職員室へと向かった。ガラッ 私がドアを開けると職員全員の視線が一気に集まる。
「ちょっと白光さん、きちんと挨拶して入りなさい。」
そんな冷静になれるわけがない。
「桐原先生。宮城色葉さんの席を何故排除したんですか!」
「宮城さん?そんな生徒うちのクラスにはいませんよ。」
「は?!」
怒りを超越した何かが私へと襲いかかる。すかさずひとりの教師が目に止まる。いろはを気に入っていた美術教師。
「町田先生。あなたはもちろん知っているでしょう?美術のセンスがとびぬけていた、あの生徒です。」
「知りません。」
職員室が静まり返る。周りを見渡すと皆が下を向いている。一体何が起こっている。ひとつ確かなのはこれ以上話してもなんの意味もないこと。私は無言でその場を去り、ドアをピシャリと閉めた。無能な教師から得られた情報は色葉の死が何故か学校によって隠蔽されていること。敵はこの学校なのだ。一体なんの目的があっての事だろう。このままあの時みたく泣き寝入りしたくはないが、私一人では到底適う相手ではない。せめて、強い見方がいれば。その時一枚のポスターの前で足が止まった。
『生徒の最大の味方 生徒の鏡
より素晴らしい学校づくりのために我々政党会は尽力致します』
生徒会…。彼らならなんとかしてくれるだろうか。
「そこの1年、全校集会始まるぞ。」
何も知らない教師が声をかける。もちろんそんな気分ではないが、全校集会の後ならば3年の教室に向かわずとも生徒会メンバーに会える。冷え切った上靴を体育館へと方向転換をした。
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