第一章 消失と予感

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かなり走ったからかそこに着くのには10分もかからなかった。私は迷わず生徒だけが知る『隠し裏門』へと向かう。この時間だから正門から堂々と入るわけにはいかない。 「あれ?」 開いてる……。大抵の生徒はバレてはいけないから開けっ放しにはしない。ああ色葉か。ドジというか抜けているというか……。ギギギギギ裏庭に入ってすぐに後悔した。夜の学校って何でこんなに不気味なんだろう。せめて母と一緒に来るべきだった。それにしても今日はいつにも増して静まり返ってる気がする。夜だからというのはもちろん自分の恐怖がそう感じさせているのだろう。それはそうといろはを探さなくては。これまた生徒しか知らない『隠し裏口』からこっそりと中へ入る。暗くて頭の中の地図が全く役に立たない。 キーン カシャン どこからか日常では耳にしない音を聞いた。何だっけ。これは……。 「もう、色葉、帰りたいよ。」     
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