第1話 第1幕:カシオ・赤トンボ・ミットナー 最後の戦い

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「天の高きに、いと栄光。父と子と聖霊の御名を讃えん!」  僕が詔を唱えると、僕を中心に大地に青い光の円陣が広がり、ドルン卿や従者達も囲い込む。 「地の塩、ロウソク、シャボンを司りし神の代理人、人類最強の教会騎士、アンナ・零・ミットナーの名の下に、アンナの使徒、カシオ・赤トンボ・ミットナーが、まつろわぬ下天の者を破門する。今、ここに在りしは、不浄なる無名の魂共なり!!」  僕の宣告によって、ドルン卿や従者達の額に青い文字が浮かび上がり、消える。   破門。それは神より与えられし洗礼を無効化する、教会だけに許された懲罰。僕はその懲罰をドルン卿達に与えた。今後、彼らの人生は恐怖で満ちたものになるだろう。荒野に打ち捨てられた魂は魔獣の餌でしかない。  だが、教会騎士の神の言葉は、不浄の魂には届かない。もはや彼らは、動くなという命令を聞く必要はない。    ドルン卿は一歩前に踏み出し、腰に備え付けたロッドを抜き取ると、ビシッとジンに向けて突き出した。  従者達はそのドルン卿に向かって、一斉に膝をついて、ひざまずく。  自由を手にした今のドルン卿と従者達の表情に、神の愛を失い、魂を汚したことへの後悔は微塵も感じられない。彼らは自らの人生の目的を愛されることに求めない。     
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